この度はご来場いただきまして誠にありがとうございます。力強い声援の数々、胸に沁みています。これを励みに、我々海賊ハイジャックも、次の航演に向けて発進できるよう準備を始めたいと思います。
さて『鬨、唾棄すべき』ですが、「話を見てもタイトルが意味分からない」という意見が多かったので、恥ずかしながらここで説明しておきます。
まずタイトルは倒置してあるのです。
正式には「唾棄すべき勝鬨」本来勝利を称える雄叫びであるはずの勝鬨が、準主人公パレンケにとっては厭うべき悲しみの雄叫びだったということで、ラストシーンのその場面から抜粋してタイトルに飾りました。わかりにくくて大変申し訳ありません。
また、海賊ハイジャックの話は情熱的との意見をよく頂きますが、実は演出の意向ではこの情熱的な部分を消そうと努めているのです。
ですがね、最終的には情熱的になってしまうのです。うまく美しく演じようとすればするほど、なぜか嘘くさく感じてしまうのですね…。
だから役者が上手く演じようとしたら真っ先に壊してみたくなる。
その人の汚らしい部分が見たくなってきてしまうのです。
でもまた言いますが、最終的にはきれいにまとめようと思っているのです。
が、結果はいつもあの通りです。ありのままでいいと思うのです。そんなにきれいに生きてきていませんから。
だから美しさを求める人がいたら、その人には笑われて生きていこうと思います。
汚らしく本心を曝し笑われている姿を、美しいと感じてしまうものですから。
作・演出 宇野正玖